たばこを吸い続ける負担

もし日本人が5人いたら、そのうち1人が喫煙者です。一日に一箱吸う喫煙者が毎年納めるたばこ税は約10万円です。たばこ税は使途を限定しない一般財源として納められるので、残り4人のためにも使われるかもしれない税金を喫煙者1人で負担してくれていることになります。

税金の負担を国に背負わされた1万円=1kgの荷物にたとえれば、一人2kgずつ持つはずのところを4人の非喫煙者の分まで引き受けた喫煙者が10kgの荷物を持っていることになります。いかにたばこの税負担が重いかがわかります。禁煙のためにはこうした現実を直視する必要があります。


害があるのになぜ売られているのか

本来、害のあるものを売ったら、車でもストーブでも建築物でも大問題になります。リコール、返品、損失補償の対象になるでしょう。実際に、諸外国では、「長年の喫煙で健康を害した」としてたばこ会社を訴えて勝訴するケースもあると聞きます。

日本では、JT(日本たばこ産業)は、以前は国営の会社でした。民営化された現在でも、3分の一以上の株式を財務大臣名義で保有する実質上の半国営企業といえます。

日本でのたばこの扱いを定めた「たばこ事業法」には、たばこ税を安定的に徴収する仕組みを守るという目的が書かれています。たばこ税を納めてくれる喫煙者が禁煙したり、本数を減らしたりすることをお上は嫌っているようにみえます。

税金はとりやすいところからとる

税金を徴収するにあたって、国民の反対があるとなかなかうまくいきません。そこで財務省としては、「喫煙者を減らすためにも、たばこの値上げもやむをえない」としてこれまで何回かの値上げを行ってきました。これまで一回の値上げ幅がそれほどでもなかったのか喫煙者の減少傾向は緩やかです。

海外では、1000円くらいすることもあるたばこが日本ではまだ400円程度であることから、健康を推進する団体などからは「本気で喫煙者を減らすつもりはない」と受け止められています。

たばこの税負担は死ぬまで続く

一度、たばこ税を負担する生活習慣になると、ほとんどの人は生涯にわたって納め続けるといわれています。財務省がおいそれと「金のタマゴを生み続けるガチョウ」を手放すはずはありません。結果として、世界的な禁煙の取り組みである「たばこ規制枠組み条約(FCTC)」もなかなか日本では機能していません。

毎年10万円ずつ財務省に上納し続け、数十年後に健康を損ねてから、そのとき初めて自分たちを取り巻く日本の特殊事情に気付いても遅いかもしれません。税負担の面からたばこを考え直すことも、禁煙する動機になるのではないでしょうか。