一番身近にある危険

人は本当に恐れるべきものに見て見ぬふりをして、まったく気付いていないかのようです。放射能や微小粒子状物質PM2.5の害を人々は意識するようになりました。しかし、たばこによる害を棚上げにしてそれらを語ることはできないでしょう。他の健康を脅かす原因と違って、たばこは自らが選択し、周囲にも悪い影響を及ぼしているからです。厳しい言い方をすれば、今一番近くにある汚染源といえるでしょう。


発がんリスクを避けるはずが……

多くの住民が避難した原発事故から数年がたちました。当時、JT(日本たばこ産業)と繋がりがある有名人が避難所に支援物資として、たばこを届けました。「発がんリスクを避けるために避難した人たちにさらに発がん物質を届けるのか?」と、その有名人のブログは炎上しました。

テレビで放映された避難所の光景では、普通に喫煙する様子も映っていて、命からがら避難した意味を無にしてしまう行為に疑問の声があがっていました。本人だけでなく、同じ避難所にいた非喫煙者の受動喫煙の被害も指摘されていました。

PM2.5の飛来を危惧するなら……

北京市ではPM2.5によって多くの住民が目やのどの痛みを訴えて病院に駆け込みました。やがてそれは中国から風に運ばれて、海を越えて日本に飛来しました。放射能汚染を避けて西日本へ移住した人々もおおぜいいます。その人たちの頭上にもPM2.5が降り注いだことは、結局どこへ逃げても同じという失望を感じさせます。

現在、日本各地の観測地点でPM2.5の濃度が測定され、一定の値を超えたら自治体によって警報が出すことになっています。禁煙ではない飲食店で店内のPM2.5の濃度を検査すると、北京市並みかそれ以上の汚染状態だったことが明らかにされました。これでは町中のごく普通の飲食店に対して警報を出さなくてはならないでしょう。

いちばん身近な発がんのリスク

遠方で生じた事故や隣国の大気汚染が、距離を隔てて私たちに不安を与えています。こうした事実を見ると、私たちは一番身近にある発がんリスクであるたばこを無視することはできないでしょう。他の健康被害と異なり、自らそれを求めているため、喫煙の習慣を「ゆっくりとした自殺」と表現する人もいます。

私たちは健康を脅かす要因に対して、正しく認識する必要があります。もっとも身近にある喫煙の害についても対策が求められている時代です。