喫煙と食道がん

やしきたかじんさんや中村勘三郎さんなど、近年ぞくぞくと著名人が命を落としたことで知られる「食道がん」は、治療の難しいやっかいながんの1つです。お酒とタバコが2大リスクファクターとされていますので、飲酒と喫煙の習慣がある人は特に気をつけたい病気です。


タバコは食道がんのリスクを確実に高める!

食道は、口から胃へと食べ物を運ぶための、約30センチの管です。いわゆる「胸やけ」を起こすところでもあります。

口から入ったものが直接触れる管ですから、当然ながらタバコの影響は大きくなります。アメリカでおこなわれた調査によれば、喫煙者の食道がんリスクは、非喫煙者と比べて7~8倍にも及ぶとのことです。 タバコに含まれるさまざまな有害物質が直接触れることを考えれば、仕方ないといえるでしょう。

さらにタバコは胃酸の分泌を過多にするため、胃液が食道のほうに逆流してくる「逆流性食道炎」のリスクを高めます。胸やけが慢性化している人は、この病気にかかっている可能性が高いでしょう。

逆流性食道炎を放置すると、食道壁が胃壁と似た組織に置き換わってしまう「バレット食道」という状態になることがあります。こうなると食道がんのリスクがさらに高まりますので、注意が必要です。

お酒の弱い人が飲酒を続けると、さらにリスクが増

喫煙に加えて、飲酒の習慣もある人ではなおリスクが上がります。中でも、お酒を飲むとすぐに顔が赤くなる体質の人では、食道がんリスクが何十倍にもなるといわれています。

お酒ですぐに顔が赤くなるということは、体質的にアルコールを分解・代謝するための酵素が少ないことを意味しています。特にアルコールの代謝産物である「アセトアルデヒド」は、二日酔いの原因にもなる有害物質ですので、これを分解する酵素が少ない人は、それだけ発がんの危険性が高まります。

お酒に慣れていくうちに、飲んでも顔が赤くならなくなったという人もいますが、それは体が慣れただけで、生まれ持った酵素の量は変わりません。このような人は、自分の体質を知らずにお酒の量が増えがちなため、特に危険だとされています。

食道がんの手術は難しい-胃カメラ検査で早期発見を

食道がんは初期症状の少ないがんです。最初のころは、熱いものや刺激物を飲み込んだ時に胸の奥がしみる感じがするだけで、多くの人は受診するまでに至りません。 やがて喉がつかえる感じが出てきたころには、かなり進行した状態になっています。

このように食道がんは発見が難しい上に、治療も大がかりになりやすい病気です。というのも食道は、周りを肺や心臓、気道などの重要な器官が取り囲んでいるため、切開するだけでも大変だからです。 そのため手術は長時間に及ぶことが多く、術後も肺炎などの後遺症が表れやすいといえます。

もっとも治療が簡単に済むのは、ごく早期に発見し、内視鏡(胃カメラ)を使って病巣を切除することです。そのためには、症状のない段階で胃カメラ検査を受ける必要があります。

特に50代以上の男性で、飲酒と喫煙の習慣が長い人は高リスクですので、ぜひ年に1度は胃カメラ検査を受けましょう。もちろん禁煙するのに遅すぎることはありません。