10代の若者はたばこ会社のお得意様

たばこ会社は商品であるたばこをより多く販売するためにさまざまな活動をしています。1980年代、アメリカのR.J.レイノルズ社は、あるコマーシャルを作りました。それに主演した俳優はたばこ会社幹部の説明に耳を疑いました。たばこの売り込み先は10代の若者たちだったのです。


ますます強まるたばこへの風当り

当時、すでにアメリカではたばこの健康被害は広く知れ渡っており、たばこ会社の経営は逆風に直面していました。成人男性の喫煙率は下がる一方で、売上の減少は避けられないとみられていました。たばこ会社は活路を見出そうと新しい喫煙者を求めました。

そこで注目されたのは10代の青少年たちでした。たばこを吸うことはカッコいいと思わせるため、コマーシャルを作成しました。

禁煙する人や亡くなる人の欠員補充が必要

そのコマーシャルのイメージキャラクターをした俳優、デイブ・ゲーリッツ氏が撮影の合間に一服していると、広告主であるたばこ会社の幹部がやってきて話かけました。 「あんた、たばこなんか吸うのか?」ゲーリッツ氏は聞き返します。「みなさんは吸わないんですか?」すると幹部は「たばこなんか、ガキ、貧乏人、黒人、バカにくれてやれ!」と吐き捨てるように言いました。

そのあと、ゲーリッツ氏は「毎日数千人の子供たちにたばこを吸うように仕向けるのがきみの任務」「肺がんで亡くなる喫煙者を補充しなくてはならない。中学生くらいの年齢層を狙え」という説明を受けました。制作されたコマーシャルは、若者たちに大評判で、ゲーリッツ氏は見事にその役目を果たしました。

10代にきっかけを与えてやれば一生の顧客に

たばこを興味本位で手にした10代の若者たちは、やがてたばこをやめることが困難になり、一生吸い続けることになります。このことを一番よく知っているたばこ会社が若年層へたばこを売り込むことはある意味"合理的"です。しかし、企業の存続のためにそのようなことが許されないのは自明のことです。

このゲーリッツ氏の告発を、外国のたばこ会社が行った過去の出来事だとして片づけることはできません。日本においては、現在も未成年に対しての巧妙なたばこの売り込みは行われています。